発声練習とは

ここまで、発声のための呼吸、息遣いの基本の中の基本を見てきました。ここまでで、なぜ腹式呼吸なのか、合唱のための発声ではどのようにすべきか、と言ったことについて理解できたと思います。

しかし、理解できただけでは意味がありません。野球で理想的なフォームを理解し、なぜそれが良いのかをわかっても、実践できなければ、解説しかできません。選手として活躍したいのならば、そのフォームができるようになるまで、繰り返しトレーニングをすると思います。

歌唱でも同じことです。頭で「こうした方が良い、こうすべきだ」と理解できたら、では自分でやってみよう、習得しよう、というプロセスに入っていきます。

特定の楽曲ではなく、このように正しい発声を身につけるための練習を、発声練習と言います。最初はブレスの練習、一定量の空気と音声の出し方、などから始まり、リズムに合わせる、ピアニッシモやフォルテといった強弱記号の表現、といった様々な目的・目標の設定された短いフレーズを、繰り返し歌うことで、技術を習得していくものです。

発声練習にはもう一つの役割があります。それは準備運動、ウォーミングアップとしてのものです。発声は声帯を震わせて行うものですが、同時に腹部をはじめとした非常に多くの複数の器官を同時に動作させる、全体運動でもあります。

野球の例を出しましたが、なんであれスポーツを始める前には、その競技の内容には関わらず、ある程度基準化された準備運動をまず行うのが常識であると言えます。徐々に筋肉をほぐし、動作しやすい状態に持っていくこと、そして急激な運動で怪我をしないことなどがその目的です。

歌を歌うこともまた、全身の筋肉を用いて表現する運動という点で、スポーツと同じように身体を扱い必要があります。準備運動せずにいきなり大声で歌うと、筋肉がほぐれていないためにうまく声が出なかったり、ならしていなかったために声帯に傷がついてしまったり、ということは十分にあり得ることなのです。

こうした二つの理由から、発声練習を行うことが、歌を歌うために非常に重要なプロセである、ということができるのです。

合唱を成功させるにはやはり練習が一番大事です。